作用機序
乾癬の病態(模式図)
乾癬は、遺伝因子と環境因子を背景に免疫系が活性化され、免疫細胞やTNF-α、IL-23、IL-17などのサイトカインが関与して、角化細胞(ケラチノサイト)の増殖・分化異常、表皮の過形成をきたすことが主な病態と考えられています1)、2) 。
1)
今福信一, 他:Prog Med. 2021;41(8)739:-751. [利益相反]著者に社員が含まれる。より作図
チロシンキナーゼ2(TYK2)の役割(模式図)
TYK2はJAKファミリーに属する非受容体型チロシンキナーゼの一種で、乾癬を含む免疫介在性疾患の病態形成に重要な役割を果たすIL-23、IL-12及びⅠ型IFNなどの炎症性サイトカインの受容体の細胞内領域に会合し、その下流の細胞内シグナル伝達を担っています2)。
ソーティクツ®︎錠の作用機序(模式図)
デュークラバシチニブは、TYK2のキナーゼドメイン内の触媒部位ではなく、シュードキナーゼドメイン内の機能制御部位に結合し、分子内相互作用により立体構造を変化させ、ATPの結合を妨げることで酵素活性を阻害します(アロステリック阻害※)3)。
その結果、IL-23に誘導されるTh17及びTh22経路、IL-12に誘導されるTh1経路、Ⅰ型IFNが関与する免疫経路を阻害するなど、TYK2が介在する炎症や免疫応答を抑制すると考えられます2)-5)。
デュークラバシチニブのTYK2依存性シグナル伝達経路に対する全血アッセイでの50%阻害濃度(IC50値)は、他のJAKファミリーキナーゼJAK1、JAK2又はJAK3に依存するシグナル伝達経路に対するIC50値に比べて約41分の1~208分の1以下であり、高い選択性が示されました(in vitro)5)。
1)
今福信一, 他:Prog Med. 2021;41:739-751. [利益相反]著者に社員が含まれる。
2)
Gonciarz M, et al.:Immunotherapy. 2021;13:1135-1150. [利益相反]資金提供:Bristol-Myers Squibb社、著者に助成金を受領しているものが含まれる。
3)
Wrobleski ST, et al.:J Med Chem. 2019;62:8973-8995. [利益相反]資金提供:Bristol-Myers Squibb社、著者に社員が含まれる。
4)
Tokarski JS, et al.:J Biol Chem. 2015;290:11061-11074. [利益相反]著者は全員Bristol-Myers Squibb社の社員である。
5)
社内資料:In vitro薬効薬理試験(in vitro)